電話

柳楽刑事に会ってから数日後。

私は、捜査の協力依頼を受けることにした。

話によると、この依頼は柳楽刑事が独断で行なっているらしい。捜査情報の漏洩は禁じられており、度が過ぎると守秘義務違反になるためだそうだ。

その観点から言えば、知られると問題になるらしく、気をつけるように忠告された。

しかし、それを受けて私の気が変わることはなかった。

何より、この体の奥に沸き立つ知的好奇心を抑えられなかった。

 

電話でその旨を伝えると、喜ぶというよりも意外そうな反応をしていた。

既に多くの有識者に断られていたため、期待はしていなかったということだろう。

柳楽刑事から得た情報によれば、信者を疑わざるを得ないため、断るのも無理はないと思う。

 

次に、他の協力者に関する話になった。

 

「他に学者さんの協力が得られているわけではないのですが、関連性のある人が協力してくれるそうでしてね。会っていただけませんかね」

 

「いいですけど、関連性って具体的にどんな?」

 

「ありがとうございますー。ここでお伝えするより、話してもらったほうがいいと思うので、よろしくお願いします。日程は後ほど調整しますね。失礼します」

 

一方的に電話を切られる。

余程忙しいのか、それともせっかちなだけなのか。

後日、柳楽から連絡があり、3日後に学内で待ち合わせることとなった。