研究者

「うぅ…。」

 

「疲れた。なんで俺だけ残業なんだよ。おかしいだろ。」

 

「成績残せば給料上がりそうだから、業務時間外でもこうして研究してるわけだよ。」

 

「頼めるのは君だけなんだ。手伝ってくれないか?とか言ってよー。社長が直々に頼んでくるもんだから、仕方なくやってんだよ。資料渡したらさっさと消えるし。それから2週間、音沙汰ねえし。そして、肝心の結果も残せそうにない。やめときゃ良かったーー。」

 

「てか、そもそもこの研究自体が無理あんだよ。プロジェクト名"神秘薬開発"。ははっ…笑っちまうよな。資料の中身もぶっ飛んでる。自己再生、肉体強化、サイコキネシスに不老不死。それらの実現に必要だと記載されている多くは非合法もしくは未知の物質だ。」

 

「はぁ…。どうしちまったんだよ、あのジジィ。資料を受け取った時には驚いた反面、ジジィの事だから、算段があってやってるんだと思ったのによ。」

 

「俺はこれからどうなるんだ…。」

 

ガチャ

 

「!?」

 

「動くな。」