思惑

「ぐふっ。ぐはっぐはっ。はぁ…はぁ。」

 

「お、やっと起きた。」

 

「……はぁ…はぁ。藤原か。」

 

「どうもー。気分はどうだい?」

 

上体を起こして、辺りを見回す耀毅。

「……はぁ…。ここは…?」

 

「ああ、町外れの倉庫だよ。会社から運んで来たんだから、感謝してよ?おっさん重過ぎるんだよなぁ。」

 

「会社から…。ぐっ…!!」

思考を巡らせた拍子に激痛が走る。

それに耐えかねて、頭を抑える耀毅。

 

「え、どうしたの?」

 

「頭が割れそうだ。意識は繋がったが、中身は完璧ではない。」

上体を起こして、額に手を当てる。

 

「へえ。そんなボロボロにされたんだ。そんなに強かったの?彼ら。」

 

「いや…それは…。私の力がまだ不完全だった。決してやられるような相手では…なかった。」

 

「ふーん。まだ、支配しきれてなかったんだ。あ、そうだ。おっさんに会いたいって人がいるよ。」

 

「私に?」

 

「うん。それを伝えに来たんだよ。でなきゃわざわざ起きるまで待つわけないじゃん。」

 

「……。要件は?」

 

「黒い影についてだと思うよ。やばそうな連中だったから、おっさんの事話しといた。」

 

「………。なぜ?」

 

「え、なんか怒ってる?いやぁ。頭おっかしそうだったから、金巻き上げられるかなぁって思って…。でも、安心して。上手くやるから。必要以上の事は話してないし。」

 

「私はお前の事もまだ信用したつもりはないがな。」

 

「ええ!?嘘でしょ。こうして目覚ましに来てあげたのにあんまりじゃない?」

 

「………。」

耀毅は応えずに、ゆらりと立ち上がる。

 

「あれ。どこに行く気?」

 

「行くのだろう。そのやばそうな…連中のもとへ。」

 

「あ、うん…。ふふ。そうこなくちゃ。」

 

「連中という事は団体か?組織名は。」

 

「えーっと。日本降神会。代表の名前はね。…なんて言ったっけな…あか…あかー…あかつか?忘れた。」

 

「日本降神会…と言ったか?」

 

「カルトだよカルト。いかにもって感じでしょ?ふふふ。まだああいうの残ってたんだなぁ。絡んでみたかったんだよね。」

 

「そうだな。まだ残っておったか…。ふ…ふふ…。」