どうも、七緑です。
「嫉妬心に駆られて、ネトスト化した件」ということで、話していきます。
うちの会社は10人規模の小さな会社で、アニメ制作会社の下請けです。
現状から脱却するために、企画を考えようという事となり、モチベのある人間だけで企画書を持ち寄ったのが一年前になります。
その結果、私の規格が採用され、絶賛活動中なのですが、通常業務もあるのでなかなか進みません。
内容はフル3Dのセルルックアニメです。
今は、キャラクターデザインとPV作成用のコンテとシナリオを並行してやっている形です。それもあって、私は社内では「ある程度絵の描ける人」という認識を持たれている状態です。絵を描く人も少ないため、現状首位なのです。
しかし、それを揺るがす事件が起きます。
新入社員の襲来です。今年は3名入社したとお話しましたが、そのうちの1名は絵描きなのです。その新人を仮にAさんとします。
うちでは、最近コロナの影響で飲み会が出来ないので、社内で定期的にお茶会を開くようにして、コミュニケーションを取る機会を設けています。私が忙しくて欠席をした日に、たまたまAさんのイラストの話になったようで、「Aさんはイラストが上手い」という認識が広まります。自分で描いたイラストを披露したのでしょう。
後日、その噂を他の社員から聞く事になります。
「Aさん、結構絵描けるんですよ。」
「そうなの?どんな感じなん?」
「えー、多分1番上手いんじゃないですか?」
「え、まじ!?」
「はい。少なくとも私よりは上手いです。」
こんなやりとりがありました。
驚きが隠し切れずに、聞き返してしまいました。そのぐらい衝撃というか、面食らいましたね。
いや、奢りというわけではなく、相対的にAさんよりは上手いだろうと確信に近い予想をしていたのです。
私の知っているAさんは、まだまだ未熟な新入社員としてのAさんですから。
驚きの後、嫉妬や焦り、羞恥など、様々な方面の感情が入り混じって襲ってきます。
私の立場が危うい。私の目標が阻まれてしまう。そう思いました。
その葛藤に頭を掻き回されながらいると、いつの間にか退勤時間になっていました。電車に揺られて家路に着きます。
その間もずっと、Aさんのイラストがどれだけ上手いのか気になって仕方ありません。
自分の方が上手かったらどれだけ良いだろう。Aさんの絵が下手であれば、みんなの誤解であれば、自分が急激に絵が上手くなれば。意味のない妄想が私の思考を支配し続けます。
もういい。もうどうにでもなれ。
自暴自棄気味に、スマホを取り出します。
そして、ひたすらAさんに纏わるワードを検索。検索。
すると、pixivのアカウントが引っ掛かりました。詳しい内容は差し控えますが、確信にたる証拠と共に投稿したイラストがずらっと並んでいます。
あれ?上手くない…?
むしろ下手と言ってもいいような。
「小学生の時から絵を描いています」という、高一の出来栄えです。
手癖で描いた輪郭。デッサン狂いを隠すようなバストアップの構図。12色鉛筆から最もそのキャラに近いからと直感的に選んだような色彩。
唖然とします。
え、私の今日執着していたものはこれ?
いや、おかしい。逆になんでこれが1番上手いと言われるんだと、そう思いました。
これは古いアカウントなのか。
しかし、最新のイラストの投稿日はつい先月になっています。
明らかに最近アップしたものです。ほぼ確実に最近の描いたものでしょう。
憑き物が取れたように、体が軽くなります。
心臓が締め付けられるような感覚も一瞬で消えました。
そういえば、「1番上手い」と言った社員は私の絵をろくに見たことがなかったなと思い出します。
ふと冷静になり、振り返るとただ一つ罪悪感だけが残りました。
普段、TwitterなどのSNSをあまり日常的に使用しないため、ネットで誰かを検索するという他人の内面に踏み入るような事はしない私ですが、珍しくこんな行為に及んでしまいました。
反省と同時に、この感情について思った事があります。
この一件があったのは金曜日だったので、検索する直前までは、ここから土日の2日間は「死ぬほど絵を描こう」「睡眠は後回しだ」と負の感情を原動力に意気込んでいました。
結果的に、危機的状況に陥る事は、とりあえず無さそうですが、あり得る話であります。
自分より絵の上手い人間の登場なんて、もちろん予想出来ています。しかし、現実味を帯びた瞬間の焦りようは異常でした。その結果、「死んでもいいから絵が上手くなるんだ!!」という決心までさせました。
最近は「キャリア的にもある程度満たされていて、社内の評価も悪くない。」そんな状況に驕りがあったのでは?と突かれた気分です。週末になると、仕事の疲れを癒すためだと言い訳をして、酒を飲んで作業をサボって、お笑い番組を寝転がりながら見て過ごす日もちょくちょくあります。
怠惰。そして、驕りです。
部下が出来た事で慢心がありました。
休息は必要ですが、そんなにいりません。
背水の陣って言うんですかね。危機的状況に陥る事で、本気で取り組む決意をしました。
その状況には、明日にでもなる可能性がある事を意識する良い機会でした。
前進あるのみです。
そうは言っても、金曜の夜は帰ったら、お酒飲んですぐ寝てしまったんですけどね。
では、近いうちに。
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